占いを行う人を占い師や占い鑑定師と呼びます。易者(えきしゃ)や風水師(ふうすいし)、占星術師(せんせいじゅつし)など、専門とする占い方法による呼び名もあります。
古代ローマの第2代皇帝ティベリウスは占星術師を珍重したとされ、中世ヨーロッパの王侯貴族たちのなかでも占い師を重用するものは少なくなかったと言われています。
近代ではかの有名なアメリカ第40代大統領ロナルド・レーガンの婦人ナンシー・レーガンが占星術師に傾倒していたのは有名な話です。
古代の邪馬台国の女王 卑弥呼(ひみこ)が占い(鬼道)を行っていたとの記述が「魏志倭人伝(ぎしわじんでん)」等の中国の史書に残っています。
6世紀後半に中国から制度や文化が渡来すると同時に、亀卜(きぼく)や易占(えきせん)、式占(しきせん)などのさまざまな占い方法も伝わり、それらを扱う神祇官(じんぎかん)や陰陽師(おんみょうじ)、宿曜師(すくようじ)が活躍しました。
古くは門外不出の秘術として限られた者にしか公開されなかった占いの知識や技術は、江戸時代には庶民へひろがりました。古い書物にもその姿は多く描写されており、人相見(にんそうみ)、手相見(てそうみ)、八卦見(はっけみ)など、現代に受け継がれた占い師のルーツを見ることができます。
現代の占い師はお客さまからのさまざまな相談に対し、現状を正しくとらえて問題を整理し、占い、言葉をえらんで結果を伝え、アドバイスする・・・ということがワンセット、これを短時間に求められます。
こうした要求に応えていくため、長期的なことを占うことができる方法と、人の気持ちなど短いスパンで変わっていくことを占うことができる方法、ことなる複数の占い方法を修得している占い師が多数派となっています。
そして命式(めいしき)やホロスコープなど、占いの知識のあるものならばみな同じ式や図を導き出せるものは、パソコンなどを使って時間短縮を計るのも現代式の特徴といえます。
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昔は占い師と言えば「黙ってすわれば、ぴたりと当たる」というフレーズが有名でしたが、現代でもそうした「当てもの」としての需要は強いものの、相談相手としてのニーズも多く、そうしたことからカウンセリングを取り入れる占い師も増えてきています。
ただ、カウンセリングがクライアント(相談者)自身が答えを出せるよう内的に導いていくのに対し、占いはクライアント自身ではどうしようもない運や他人などの外的な要因について求めていくという点で、真逆と言ってもいいくらい手法や考え方は異なります。
とはいえ、心の内と外から問題解決の方法を探る、という点で組み合わせる利点はあり、時代のニーズに合わせて占い師も柔軟に変化していると言えるでしょう。
先述のとおり占いは、日本では江戸時代に庶民へひろがりました。多くの門人をかかえる大家(たいか)と呼ばれる占い師が活躍した半面、市井(しせい)の占い師の多くは浪人などがくいぶち確保のため、中国から渡ってきた専門書を片手ににわか勉強で占っていたのでは、と推察する識者もいます。
現代においても自称占い師はいると思われますが、実力主義のシビアな世界です。占いの知識や技術を習得する以外にも求められる能力は多く、なにより365日他人の悩みを聞き続けるというのは、だれでも安易に出来ることではありません。名乗るは簡単、されど継続して人気を得ていくのはむずかしい職業と言えるでしょう。